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Chapter1 - episode1 ソラ


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その島は虚空に浮かんでいた。島の端から中央に向かって山が聳え立っていた。


その島は虚空に浮かんでいた。島の端から中央に向かって山が聳え立っていた。


その星はこの島にとって、そしてこの物語にとって、すべての始まりといってよかった。


天井の星の光は微かにしか届かず、島には凍てつく風が思い切りぶつかり、ぶつかっては島のへりに打ち消された。


島では季節はずれの雪が宙を舞っていた。


そこは、島の端にある大きな洞窟だった。 普段は無人の洞窟に幾人もの人々が行き交い生活の音を立てていた。せめてもの暖をとるために所々で火が焚かれていた。


人々の表情は疲れきっていた。


そんななか、焚き火から遠く、人の輪に入るか入らないか、ぎりぎりのところに一人で佇んでいる少女がいた。


ひとりの女が少女に気づき、見兼ねて声をかけた。


女 「 お嬢ちゃん・・・? あなたも焚き火のそばにおいで。ここじゃ凍えちゃうよ。

女性は疲れた表情を隠すように少女に優しく精一杯の笑顔を向けた。


だが、少女は首を大きく振ると、洞窟の奥の洞窟のへりに向かい、そこで屈みこんでしまった。


女性は察したような表情を浮かべ少女を追うことはしなかったが、心配そうな表情で少女をみていた。


人々の中に、大きな音にひどく怯える者や、火を極度に怖がる者もいた。少女もその一人だった。


少女は洞窟のヘリで身を屈めて座り冷気に凍えながら、じっと空を見つめていた。


気温は凍えるほど寒く、凍てつくような風が吹き上げていた。


雪の一つが、少女の鼻先に触れて、溶けていった。


だが、少女の瞳は鼻先で溶けた雪に視線さえ移さなかった。


少女の瞳は、ただ、静かに虚空を見つめていた。


しかし、少女の虚ろな瞳に、眼前の雪が舞い散る空もまた、映っていなかった。


その脳裏には、灼熱の炎とその中で助けを求める女の姿が繰り返し映し出されていた。


少女の脳裏に映された回想では、女の傍に、男も倒れて動かなかった。


女もやがて崩れ落ち、傍で倒れた男の手を静かに握りながら、片方の手をこちらに伸ばして、何かを悟った目でこちらを見ていた。口元は微笑んでいた。


回想はその後、男の手を握った女が炎に巻かれて崩れ落ちる瓦礫に埋もれていく場面で終わった。


女性は炎に巻かれた瓦礫に埋もれながら、最後に言った。


「 ソラ・・・生きて。私たちは、「星」に行く。あそこから、あなたを見ている。 目の前のことにように見えるの。これからは今までよりも私たちはあなたの近くにいるのよ。

その場面が再生されたとき、それまで微動だにしなかった少女の眼が微かに潤み、瞳から涙が一つ流れて、頬を伝った。


頬を伝った涙は少女の首から下げられたペンダントのチャームにぶつかって砕けたようだった。


そのペンダントのチャームにはライオンの紋章が象られていた。それは島で一番古い教会の紋だった。


また、凍てつくような一陣の風が洞窟のヘリに当たって砕けた。


突風は、碧色の少女の髪をかきあげた。


髪を逆だてるほどの、刺すような突風を受けても少女の眼は微動だにせず、その瞳は虚ろだった。


少女は俯いていたが、ふと、虚ろだが真っ直ぐな目で天上の星を見上げた。


そうして、こう呟いた。


ソラ 「 父さん、母さん ・・・

少女の虚ろな瞳の奥には、だが、強い生命の火が、確かに宿っているように見えた


Chapter1 - episode2 ヤゲン ・ ギーン


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側の洞窟の岩陰に隠れるようにして、ヒソヒソと話す3人の男たちがいた。焚き火の光が当たり3人の大きな影が洞窟の壁に投影していた。


男 「 ヤゲン、フクロウの村のアジトをすぐに確かめねえと。石があいつらの手に渡ったら次の取引に間に合わねえ。オレたちは本当に終わりだ。

ヤゲン 「 ライオン街の本部にある暗号を解かれたら終わりだ。急がねえと。

男 「 チッ! やりにくくて仕方ねえ。 ウサ公(自警団)のトップまで一緒じゃな。あいつらと闘ってるはずだろ?

男 「 だが、あいつの目は節穴だぜ。大事なときに役に立たねえくせに、祭り上げられて胸くそわりいぜ!

ヤゲン 「 フクロウの村にも武装した連中がわんさかいるだろう。クソ八方塞がりかよ!!

壁を叩いた手が出血するほど強く、ヤゲンと呼ばれた男は思い切り洞窟の壁を叩いた。


男 「 ファミリアのやつら、まさかこんなときに総攻撃をかけて来るとはな。くそ、侮ってたぜ!あいつらあそこまで気合入ってるとはな。。

男 「おかげでライオンカルテルは、ほぼ壊滅状態だ。

ヤゲン 「 あいつらはやってはならねえことをした。味方の仇はぜってえとる!生かしてはおけねえ!

そうほぞを噛んだ男の腕には、大きなライオンのタトゥーが施してあった。


そのタトゥーはライオンカルテルと言われる組織の証だった。


1人の男の首筋ともう1人の男の腰のあたりにも、それぞれライオンの入れ墨が施してあった。


男 「ライオンの牙は報復の牙だ!

ヤゲン 「・・・ライオンの牙は報復の牙だ!

ヤゲンと、あとの2人の男は目を見合わせて頷いた。


手の傷がちょうど重なってヤゲンのライオンのタトゥーから血が滴り落ちているようにみえた。


その異様は、傷ついた獅子にも、獲物の血をすするライオンにも見えた。


洞窟の端で隠れるように話していたヤゲン達とは対照的に煌々と炎をたてる組み木を囲んで男達が大声で話し合っていた。


男 「 ギーン様!自警団は、、、兎の騎士団は壊滅でしょうか!??このままではやつら、ここまで来てしまう・・!

ギーンと呼ばれた男 「 なにをいう! 「星」に忠誠を誓った鞠の軍勢は不滅の集団なり! なによりわしがいるうちは自警団は健在ということだ!かならず食い止める!

女 「 ギーン様、 下の世界から援軍は来るのでしょうか 。

ギーン 「 来る! 下の世界から未曾有の大軍隊が押し寄せる!! わしには彼らの足跡が聞こえておるぞ!

男 「 おおっ!友軍が来てくれれば、ギーン様も百人力ですね!

ギーン 「 うむっ!もちろん鞠の軍団でなんとかできるが、友軍がおると心強いな! おそらく、少なくとも1千を超える大軍勢じゃろう!

男 「 1千・・いや2千の軍勢とともに兎の騎士団を率いて自由都市を奪還ですね!!!

男 「 MRNは、奇跡の騎士ギーン様が率い、2・・・いや4千の軍勢の頭となるぞ!!!「鞠の軍団」が友軍を率いて怨敵をあっというまに亡骸にかえる。自由都市での血の海に浮かぶ大勝利が眼に浮かぶぞっ!!

男 「 おおおおっ!!

そうしなければ何かに押しつぶされてしまうかのように、焚き火の周りでは大歓声が上がった。


そのとき、見張りの男が大慌てでギーンのそばに駆け寄ってきた。


男 「 ギーン様、ハァハァ・・援軍を名乗る男が訪ねています・・・!身なりから・・ハア・・奴らではありません!

ギーン 「 おお・・・来たか・・・・!! すぐに出来る限りのおもてなしの準備をするのだ。 大軍勢に長旅の疲れを癒してもらい・・・彼奴等など一網打尽にしてもら・・してくれるわ!!

Chapter1 - episode3 ディー


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ギーンは取り巻きたちとともに、洞窟の入り口まで、援軍を名乗る男を出迎えた。


ギーンは数百メートルある岩でゴツゴツした道のりを駆け足で出口に向かった。


その足取りに取り巻きたちは驚いた。


取り巻きの男「 ギーン様の足取り、なんてスムーズなんだ・・・!とても目が見えないとは思えない。

取り巻きの男 「 ああ。さすが鞠の軍勢を統括する無明の騎士ギーン様だ!

洞窟の入り口には男が一人、立っていた。


見張りの男 「 自警団長ギーン様、こ、こちらディー氏と名乗られています・・・!

見張りにディーと呼ばれた男は赤い下の世界での正装を羽織り、澄ました表情で微笑みを浮かべていた。


ギーン「おおっ!このようなところまでお越しいただきありがとうございます! そ、それで、大軍を率いておられるようには見えませんが、あなたは使いの方ですかな?

ディー 「 大統領府・シニア・アドバイザー、エイリアス・エネルギー・インダストリー 防衛部門顧問、ディー・エイリアスと申します。

ギーン 「 エネルギー・インダストリー ?

ディーの自己紹介に、ギーンはキョトンとした表情を見せた。


だが、すぐに取り直して、一番重要なことを聞いた。


ギーン 「 援軍はどこですかな? ここには入りきらないでしょう。

ディー 「 入りきらない?ー

ギーン 「 ひょっとして、もう、どこかで交戦中ですかな?

ディー 「 交戦中 ?

ギーン 「 はは、ディー殿も人が悪い。 4・・・いや、8千の大軍勢のことですよ。

ディー 「 8千の大軍勢?

取り巻き「 そうだな、外にも大軍の気配がしないから、本隊は遠くで息を潜めているのかも。

取り巻き 「 でも、ディー殿には御付きの人も誰もいないぞ・・・?

ギーンたちの期待に応えるように、ディーは言った。


ディー 「 何か勘違いされているようだ 。

ギーン 「 勘違い?

ディー 「 ・・・ 来たのは私一人ですよ。後にも先にも、ここには、私しか来ません。

ディー 「 島を救うのはあくまでもあなたたちですよ。

沈黙が辺りを長い間支配した。ギーン達は絶句し、長い長い時間言葉を一言も発せずにいた。


ディーは微笑しながら、その様子をじっと伺っていた。


Chapter1 - episode4 ジオ


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見張り 「 た、大変です!お、男が一人向かって来ました!責任者に、ギーン様に会わせろと言っています!

絶句してギーン達が立ち尽くす端の洞窟の入り口にその男は突然現れた。


ギーン 「 な、なに? よし、よく身体検査をしろ!!

見張り 「 そ、それが・・・!もうここに!

そういうと、見張りの男の後ろから突然男が姿を現した。


男はボロボロの出で立ちで服や体躯のあちこちが焼け焦げていた。


唖然とするギーン達に男は言った。


ジオ 「 私はジオ・・・! やっとここまで来れた・・・! 遥か遠方より、あなた方の助太刀に参った・・・!

ジオが述べるか述べ終わらないかの瞬間、ギーンの護衛の一人がジオの顔面目掛けて棍棒で思い切り殴りかかった!


護衛 「 侵略者め!!よくもぬけぬけとここに現れたな!!

不意をつかれたジオは微動だにできず棍棒はジオの顔面にクリーンヒットした。


ジオ 「 グァッ !

怯んだジオをみた他の護衛もジオに躍りかかり、残りの護衛はギーンを囲いこんだ。護衛はギーンを起点に放射状に防御姿勢をとった。


ギーン 「 ・・・ よくもわしらの島を踏みにじってくれたな悪魔どもめ!

怯程なくして力なく取り押さえられたジオの面前に立ってギーンはジオを問いただした。


ギーン 「お前、なんで一人なんじゃ?!

ジオ 「 違う、おれは1人じゃない! オレの後ろにはおれについて来てくれた総勢80人の部下達がいる!見えないか、俺の肩に宿るあいつらが!

ギーン 「 ま、まさかお前は囮で仲間が取り囲んでおるのか・・・?

ギーンは、ジオの言葉に青ざめた。


ギーン 「 くそ、卑劣な!まずはお前から片付けてくれる!

ジオ 「 違う!おれは一人だ! そうじゃない!

ギーン 「 こ、こやつ!自分から白状しておいて、まだ騙そうとしておるのか! ゆ、許せん! 愚弄じゃ!

ギーンが声を荒げるのと同時に護衛がジオの腕を絞り上げた


ジオ 「 グオオオオ!

ジオ 「 まて!聞け! ど、同胞が迷惑をかけた! それは誠に申し訳ない ! しかしここで無駄死になどしたらオレは部下たちになんと言えばいいか!

ギーン 「 ど、同胞・・・! 部下・・・ や、やはりお前・・・!

ギーンはいよいよ顔面蒼白となった


ジオ 「 ま、まて!おれは同胞の誤りを正しに来たんだ!!あ、あなた方が国を取り返すのを手助けしたい!!

ギーン 「 このうえ虚言を弄するか・・・!!

ギーン 「 ええい、わしが自ら手を下してくれるわ・・!

ギーンがジオに殺意を向けたそのとき、静かにディーがギーンに歩み寄って問いかけた。


ディー 「 お取込み中のところ申し訳ないが、私との話の途中ではありませんでしたかな?

ディー 「 そろそろ本題に入りましょう。

ディー 「 ・・・商談です。

ギーン 「 ・・・商談・・・?

ギーンは、突如割って入って来たディーの口から出た言葉に、キョトンとした表情をみせた。


Chapter1 - episode5 ガーディアンズ


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ギーン 「 これはこれは、ディー殿 。 商談とはまたご冗談でしょう。我々は今、状況的にビジネスのことを考える余裕がないことはお分かりでしょう・・・

ディー 「 あなた達と、わたしたちの友情をより強固にしましょう!

ディー 「 今日我々が交わした絆は永遠に詠われるでしょう。

ギーン 「 それはありがたいお申し出!

ギーン 「 それで、具体的には・・・ どういうお申し出なんですかな?

ディー 「 いまあなた達に一番必要なものをお持ちしました。

ディー 「 ' 力 ' です。

ギーン 「 ' チカラ ' ・・・?そ、それは是が非でも必要です!

ギーンは生唾を飲んだ。その瞳は期待に輝いていた。


そのとき、洞窟内を一陣の風が駆け抜けた。


風が吹き抜けた刹那、洞内の冷たい空気がピンとより一層張り詰めた。


ディーは微笑を絶やさずギーンに語りかけた。


ディー 「 まずはあなたたちの運命をその目で見て頂きたい。

ディー 「 あなた達に手にして頂く`チカラ`の一部があなた達の前に姿を現します。

ギーン 「 むむ!見定めねば。・・・この盲いた目でも、皆の運命を見定めて見せよう!

風が吹き抜けた刹那、洞内の冷たい空気がピンとより一層張り詰めた。。


ディーは微笑を絶やさずギーンに語りかけた。


ディー 「 まずはあなたたちの運命をその目で見て頂きたい。

ディー 「 あなた達に手にして頂く`チカラ`の一部があなた達の前に姿を現します。

ギーン 「 むむ!見定めねば。・・・この盲いた目でも、皆の運命を見定めて見せよう!

洞窟の天井は大きく穿たれ、頭上の星から放たれる光が洞内に降り注いでいた。


ディーが静かに手を頭上に掲げた。掲げた手の指は、洞内の天井を指していた。


ディーの指の先にある穿たれた天井の`ヘリ`は高く、人が容易に行けるような場所ではなかった。


男 「 ・・・!?

ディーの指の先を辿った男が、その天上のヘリに、`何か`いることにいち早く勘付いた。


男 「 あ、あんな高いところに何かいるぞ!

男はそう言いうと体の芯から得体の知れない寒気が沸いてくるのを感じた。


そして、天井の`なにか`をよく確認しようとして男は、天井の何かと目が合った・・・!


男 「 ひっ!

男はそういうと腰が砕けてへたり込んでしまった。驚いたのではなく、`何か`の底の知れない眼光に射すくめられたのだった。


洞内に、天井の`何か`の正体を知る者がいた。


・・・平伏した者、ジオだった。


ジオ 「 あ、あの禍々しい悪魔どもを連れてきたのか・・・そんな必要は絶対にない・・・!

ジオ 「 あの姿格好だけは、許すことはできん。いつか、化けの皮を剥がしてやる・・・!

拘束された者`ジオ`は青ざめた、しかし、激しい怒りの表情で天井の影を厳しく睨みつけていた。


ジオ 「 神の使徒を装った悪魔め!お前たちは確かに力になるだろう!だが、お前達が我が同胞をこれ以上殺戮するところを見過ごすわけにはいくまいぞ!

ジオ 「 この命に変えてもだ!

ジオは、天井の`何か`に強い敵意を表明した。


しかし、ジオの顔からは血の気が失せ、恐怖と怒りが入り混じった表情を浮かべた顔には脂汗がにじみ出ていた。


現在ストーリーはここまでです。



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